2007年5月25日金曜日

猫物語3


悲しむべき野生の摂理です。
種族保存本能が予想より早く出現しました。
親子ですので、状況はお判り頂けると思います。
さて、先ずは捕獲。
都会の野生は簡単にゲージに入るはずも無く、
凄まじい行動力で逃げ惑いました。
ドクターは食事に麻酔剤を混合して、
眠ってもらうことを提案してくれました。
一応、薬はもらってきましたが、
服用させる気にはなりませんでした。
応急的な知識ですが、ショック死もあり得ます。
なんとか段ボールに入っている二つの命を、
そのままゲージに入れました。
タクシーのトランクの中で、
揺られながらどんなに恐ろしい思いをしたことでしょう。
次の日、
退院を迎えにいって、
ゲージの中の二つの命を観たときに、
不覚にも涙がこぼれました。
なんと、
母猫は子猫に覆いかぶさって必死に守っていたのです。
麻酔が完全に切れた訳ではありません、
極端な動きは自分の腹をもう一度切ることになります。
完全に人間を信じなくなっていました。
ごめんなさい、二つの命。
タクシーがマンションに着きました、
まだ一声も泣きません、
自分の居場所を知られまいとする必死の野生です。
ところがエレベーター前に付いたときです、
二週間過ごしただけの我が家が判ったのでしょうか、
それまで聞いたことの無い、
心細そうな、生まれたての赤ちゃんのような、
泣き声を上げました。
二度目の涙が私の心の抑えを無視して、
眼鏡を曇らせました。ごめんなさい、二つの命。
部屋でゲージの扉を開けてもすぐには出てきませんでした。
私達はじっと彼らから見えないソファで
やりきれない思いをこらえていました。
地域猫の存在は決して小さな問題ではないと思います。
地球の温暖化とも決して無関係ではない。